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運送の仕事から証券への就職

 

 仕事をして貯めたといっても、大学の学費にはまだまだお金が必要だったので、お昼は運送の仕事をしながら、夜はひたすら勉強の日々が続きました。(もちろんそれだけでは足りないので結果的に奨学金も借りました。)
が、現在は北区浮間に移転しています。ここで頑張れたのは、同じ職場で働いていた方々が本当に優しくしてくれたからです。今考えると、僕は色々な苦境がありましたが、いつもそこには優しく見守り、接してくれる方々がいました。

 

 ここでの運送の仕事でつらいと思ったことはなく、事情を知っていたからか、そんなに苦ではない仕事を優先的にまわして頂いていたと思います。

 

 実は、この時より大学を卒業して今に至るまで、1度も足を運んでいません。

 

 特に理由があったわけではないですが、当時は思考が停止し、人の恩など考える心の余裕がなく、機械のように人生を過ごしていましたが、この時お世話になった感情が今になってふつふつとわいてくる余裕ができたからなのだと思います。

 

 僕の目標の一つにこの豊島運送の保険を担当するということがあります。

 

 佐川急便でも、クロネコヤマトでも、どんな大きな運送会社でもなく、誰よりもこの豊島運送の保険を担当したいと思っています。

 

 当時僕がお世話になった方々はいないかもしれませんが、豊島運送を守ることが、僕が保険代理店を運営していく上での、ひとつの目標です。

 

 こうして運送の仕事を通して、優しい方々に囲まれたおかげで、大学に入り、お金に関する勉強を経て、証券という仕事に就くことができました。

 

ただひたすらに訪問をする日々

 

 大学を卒業し、証券会社に入社。そこではたくさんお金について勉強し、主にお金を持っている方達とたくさん接する機会がありました。しかし、そこで学んだ1番大切なことはお金に関してではなく心に関してでした。

 

 一通り新人研修が済んでいざ営業を開始しますが、もちろん売れません。仕事は単調とはいえ、ガラ運びや運送の仕事は会社が持って来てくれます。証券の営業は誰も手助けしてくれません。今度は自分で仕事を取ってこなくてはいけません。

 

 今までのように待っていれば仕事が来る環境とは真逆になるので始めての経験です。

 

 初めての経験なのに、自分はどこか同世代より「苦労してきた・働いてきた」と自負を持っていました。

 

 それが邪魔をして、謙虚になることができず全く売れません。この売れない日々は、自分という人間を否定的にしか見れませんでした。

 

 そんな中、新人でもぽつぽつと売れる人間が出てきます。ですが、僕は3ヶ月たっても1円の利益も生み出せないボンクラ社員でした。

 

 でも、量をこなせば必ず契約は取れると信じ、相手のことなど考えず、やみくもに訪問してはNOを突きつけられる日々を過ごしていました。

 

玄関の前で顔を踏みにじられた

 

 今でこそ当たり前になっていますが、当時は【自己紹介シート】はとても効果がありました。僕も契約は取れませんでしたが、ポスティング業者のごとく、自己紹介の紙をまいていたので、ぽつぽつと連絡は来ていました。

 

 しかし、あることがきっかけで、この自己紹介シートを配れなくなってしまいます。

 

 新宿にあるお宅を訪問した際です。真冬の今にも雨が降りそうな寒い日でした。メガネをかけていたので、以下(メ)と記載します。

 

 チャイムを押すと「ピンポーン」がシーンとした辺りに鳴りひびく。

 

メ『はい?』

 

僕『この辺りの地域を担当しています遠藤と申します。ご挨拶と新商品のご案内のために伺わせていただきました。』

 

メ『ああ、ちょっと待ってね。』

 

70代くらいの背が低めのメガネをかけた人が出てきます。

 

メ『はいはい?』

 

僕『この地域を担当しておりますので一度ご挨拶に・・・』

 

メ『だからそれは聞いたよ、何?』

 

僕『僕の自己紹介と来週より発売されます、国債のご案内で伺いました。』

 

メ『ふーん、見せてよ』

 

僕『ありがとうございます!よろしくお願いします!』

 

 と渡したら、その自己紹介シートと案内を見ることもなく、くしゃくしゃにして地面に落とし、無造作に踏みつけました。

 

メ『お前が誰かなんて興味ないし、二度とくんな。このゴミ(自己紹介シートと国債のパンフパンフレット)も持って帰れ』

 

といって、足先でカツーンとくしゃくしゃの自己紹介シートとパンフレットを道路に蹴りました。

 

 何秒くらい経ってからでしょうか。

 

 少し時がとまったような間隔で、くしゃくしゃにされたシートを広い、呆然としながら駅に向かって歩きだしました。

 

 歩いている途中雨が少し降ってきたので喫茶店に立寄りました。

 

 そのくしゃくしゃにされた自己紹介シートを開いて見ながら、親に申し訳ない気持ちになりました。親のことは嫌いでしたが、顔写真を踏まれ、ゴミとまで言われる筋合いなんてありません。

 

 僕をゴミのように育ててはいませんし、少なくとも、あんなゴミみたいな行為をする人間にはなっていません。

 

 周りの先輩からは、『まあひどいけど、お金の損得がある世界だから、似たようなことは結構あるぞ』と言われましたがずっと納得はできませんでした。

 

『お金の勉強をして、経営者になりお金を稼ぐ』と意気込んでいましたがこの辺りから、人生も仕事もお金に関わるとろくなことがないと思い始めました。

 

 僕はつくづくお金に縁がないのだな、だったらお金に関わるのはやめよう。

 

 典型的な逃げ腰の言い訳人間になっていました。